屋久島とウミガメのあゆみ
ウミガメと屋久島の人々の暮らし
かつて屋久島では、ウミガメの卵は貴重な食料でした。
栄養価も高いことから、長寿の妙薬や妊婦の栄養源としても重宝され、地域経済を潤す資源ともされていました。
しかし「全部を採らず、子ガメになる卵を残すという配慮も忘れない」など、ウミガメとうまく共生するための工夫がなされてきました。
また、トビウオ漁の最盛期である5~6月はウミガメの産卵期にも当ります。
まだトビウオ漁が盛んだった頃、浜には漁にいそしむ人々の姿と、産卵のため上陸するウミガメたちの活気ある風景が広がっていたと言われます。
ウミガメ保護と観察会の歴史
屋久島では、昭和48年に旧上屋久町が自然保護条例制定し、世界的に絶滅の危機にあるといわれるウミガメを守るため、ウミガメやウミガメの卵の捕獲を禁止しました。
昭和63年には鹿児島県も「ウミガメ保護条例」を制定し、県内全域の海岸で無断でウミガメを捕獲したり、卵を採取したりすることを原則禁止しました。
昭和50年頃から地元グループによる研究・保護・活動が始まり、平成8年からは永田浜周辺で地元組織によるウミガメの上陸・産卵、ウミガメ観察会が行われるようになりました。
平成20年には、地元関係者と行政機関が参加する永田浜ウミガメ保全協議会にて地域ルールが策定され、令和元年には、ウミガメ保護利用専門部会が発足、永田浜だけでなく栗生浜、中間浜も含めた屋久島全体のウミガメ観察のあり方の検討がスタートしました。
ルールを守って観察しましょう
ウミガメはデリケートな生きものです。
特に、産卵前のウミガメはとても用心深く、騒音や人工的な光を嫌い、海辺近くのホテルや自動車のライトなどを察知すると上陸をやめてしまいます。
また、ふ化した子ガメにライトの光を当てると海の方向が分からなくなってしまい、迷走して体力を消耗し、海にたどり着く前に朝を迎え、天敵に捕食されてしまうことがあります。
屋久島に産卵のために訪れるウミガメを守り、ふ化した子ガメが無事海に帰れるよう、 5/1~9/30の期間中は無秩序な浜への立入りはご遠慮ください。
また、永田浜については必ずウミガメ観察会にご参加をお願いします。
みなさまのご理解、ご協力よろしくお願いします。